大雨の被害に遭われた方も多くいらっしゃると思いますが、激しく打ちつける水の粒と雷鳴には、どこか清々(すがすが)しさを感じます。
それは、なかなか変わらないと思われた局面をひっくり返してくれるような―、吉と出るか凶と出るか判らない切り札のような―、流れに身を任せるしかないそのお手上げ状態に、ワクワクしている自分があるような気がします。
先日、東京の高齢者施設に勤務していた際、深夜に非常ベルが鳴り響きました。消防車5台が駆けつけて大騒動になったのですが、調査した結果、誤報と判りました。
私は当日の責任者だったので、消防、警察、警備会社、入居者様、上司等への連絡・陳謝・報告業務に追われました。
まるで集中豪雨、お手上げ状態です。
しかし翌日、よかったことがありました。
とある二人の入居者様の関係性が大きく動いたのです。
お二人の間では、3ヶ月前に起こった些細なトラブル以来、お互いに口も聞かず、顔を合わせるのも避け続けている状態でした。ところが、「深夜の非常ベル事件」をきっかけにして、自然と言葉が出てきて、同時に笑みもこぼれて、自然と会話することができました。
「あの日は大変だったよねー」と。
「火災報知機の誤報」の真相―…ですが、防犯カメラを確認して明らかになりました。
アルツハイマーを患った一人の入居者様が、暗闇に浮かぶ赤いランプが気になって、押してしまったようでした。
しかし私たちは、その方に感謝の気持ちが芽生えていました。我々には決して動かせないと思われた盤面を、その方の指先一本で、「ポチッ」とひっくり返すことができたのですから。








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