「悩む理由が値段なら買え。買う理由が値段なら止めておけ」
投資や買い物の格言として言われる言葉です。
今日は東広島稽古場にて、合同稽古会に参加してきました。私が稽古会の情報を知ったのは今月の初旬。行こうかどうしようかと少し悩んだ際に、上記の格言を思い出しました。
野口晴哉先生(1911-1976)は、「何事も、裡(うち)の要求によりて為せ」「裡(うち)に為さんと欲したら直ちに為せ」と説かれました。
「食べたいなら食べる」「行きたいなら行く」というのが、一般に裡の要求だと思われがちです。ただ、「食べたい」「行きたい」の動機付けに「お金が高いか安いか」や、「手間がかかるかどうか」が混じってくると、ややこしくなってきます。
そこにあるのは損得とか効率とか、安定とか安心といった、精神(とか脳みそ)が求めている要求であり、体(とか本能)は求めていないということが、往々にしてあります。
損得とか効率とか、安定安心を犠牲にしてでも、得たいと思える何か、それが裡の要求と捉えることもできるのではないかなと思いました。
◆
それを逆手に利用すれば、むしろ明快かもしれません。つまりこういうことです。「お金が高いから悩んでいる」「お金が安いことが決め手でやろうとしている」と気づいた時点で、冒頭の格言のように逆張りをすれば間違いない、と言えるかもしれません。
むしろ、そのハードルを越えて行ったからこそ、得られるものがたくさんあります。それは例えば、自分への信頼です。
20代の頃、私は毎日のランニングを習慣化するために、敢えて雨の日に走り始めたことがありました。
「あんな雨の日でも自分は走った」という事実を先に作ることが、自分へのポジティブなレッテル貼りになり、「自分はあの雨の日でも平気で走った奴だから、これくらいの悪天候でも続けられる。問題ない」と、自然に思えるようになれます。
「あんなに遠い稽古会だったけど、自分は参加した」「自分にとっては安い出費ではなかったけれど、それを上回る裡の要求を感じたから行くことにした」
その事実の積み重ねが、のちのち自分の行動力を支えて、次のアクションを起こしやすくしてくれることが大いにあります。
だからこそ、そのハードルが高いほど、参加への障壁が多いほど、その行動によって得られるリターンは、目に見えない本質の部分で増大されていくと言えます。
4月から本格始動した晴風学舎の中で、様々な企画が立ち上がろうとしているようです。その流れに乗るかどうか、悩むことがあるときに、常にここに立ち帰りと思います。
******************************
裡に為さんと欲したら、直ちに為せ。
成否のために為すな。
裡の要求によりて為せ。
******************************
(野口晴哉著『風声明語2』全生社より)
